B7「陰翳礼賛」-美しい陰をつくる

美というものは常に生活の実際から発達するもので、暗い部屋に住むことを餘儀なくされたわれわれの祖先は、いつしか陰翳のうちに美を発見し、やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。事実、日本座敷の美は全く陰翳の濃淡に依って生まれているので、それ以外に何もない。(…) 美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える。

『陰翳礼讃』

谷崎潤一郎(1886-1965)の『陰翳礼賛』(1934、昭和9年)は、明治・大正と近代化(西洋化、漱石曰く上滑りの近代)の一途を辿った日本において、日本人の生活から失われた「美」についての随筆である。それは、日本という場所(風土)に根ざした生活様式によって培われた「陰翳の美」であり、電灯・電飾に覆われた現在の私たちの生活からは失われてしまった「美」である。 『陰翳礼讃』を読み、あなたの日常生活における空間(場所・時間・行為)を一つ選択し、その空間に於かれる「美しい陰」を生む什器をつくりなさい。 但し、その什器の用途は不問とする。

提出物:立体物+それが於かれた状態を記録した映像(写真または動画)

サイズ:150×150mmの台座に設置できること。

材 料:無彩色及び素地の材料であること。

縮 尺:1/1(原寸)

特 記:選ばれる陽光或いは光源、時間、空間の大きさ、行為、間に生まれる関係性に十分留意すること。

出題:6月7日

提出:6月14日

講評:6月21日

(出題:早田)

 

A ++ 1x16a125 原田 佳典

13スクリーンショット 2017-07-20 19.20.01

「時津風」と題された三味線の音色に揺れる華奢な花器をデザインした作品。一軸差しの花がわずかに支えられて、薄暗い和室の中で、音色に合わせて揺れている様は、風情があるが、下に置かれたグラスやすのこが白々しく映っているのが残念。( 早田)

 

A ++ 1x16a072 清水 一樹

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スクリーンショット 2017-07-20 19.24.36

一見、意味のないような形で、明るい空間でみると、安っぽささえ感じるものが、光と影の中で、ドキッとするような表情を浮き上がらせる。映像がとても美しく、仏壇と重なり、ある崇高な道具、それも遠い地から渡ってきたような重みを感じてしまう。( 小林)

 

A ++ 1x16a012 石田 彩果

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電子レンジの中という日常的でありながら審美感とは対極にある瞬間に着目している。サランラップというはかない素材が熱に耐えながら回されるはかない存在感。( 三浦)

 

A ++ 1x16a122 林実穂

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お皿の底に半分だけ顔がレリーフされる。左右対象である故に省略されているのか?見る角度によって顔全体を感じさせたり全く見えなくなったりする。( 三浦)

 

A ++ 1x16a006 荒川怜音名

13

「ねむる」宝石のショーケース。アルミ板に塗装を施したもので、造形として魅力的であり、影もシャープで良い。とても好感の持てる作品。表と裏の表現の差などあればもっと良かった。( 山村)

 

A ++ 1x16a107 中島諒

15

「食卓の美」

谷崎の栗( もしやビワ? ) の話を具現化した素直な作品。闇の中に浮かぶ栗の茶色、そしてカラ( ヘタ) が浮かび上がる情景を作品化した。バルサの台座とワリバシがNG。( 山村)

 

A ++ 1x16a103 中尾 直暉

14

コンクリートの柱のような物体に一筋のスリットが開けられ、そこから差し込む光が闇の中にかすかなコンクリート表面のテクスチャを浮き上がらせる。外面で見えているコンクリートの表情が、内側ではまるで別のもののような(やわらかい) 表情に見える。(小林)

 

A ++ 1x16a016 稲坂まりな

12スクリーンショット 2017-07-20 19.19.07

草原におかれる白い搭状のオブジェ。凹凸のある表面や曲面体などをstudy して、光のあやを取り込もうとしている。巨大な作品でチャレンジ精神が良い。しかし、一昔前の時計塔的にすぎないか。(早田)

 

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