B8「都市のゴーストを念写する」

「ゴースト」とは日本語に訳すと、お化けや幽霊、妖怪といった対象が挙げられますが、他にもモンスターや怪物といった意味合いも含みます。
通常、幽霊や妖怪の多くは、その起源に特定の人や場所との強い関連性が存在し、時間の経過の中で育まれるものですが、逆にモンスターや怪物とは、そのような関連性や時間経過の欠如、もしくは文脈のないもの同士の集合体として定義することが出来ます*。
また、「ゴースト」という言葉には他にも、地霊や魂、自我といった観念的な捉え方や、映像や音声のノイズの呼び名であったりと、多様な解釈の余地があることも、その特徴と言えるのかもしれません。
本課題では、こうした多義に渡る「ゴースト」を踏まえながら、各自「都市のゴースト」と言うべき対象を発見し、ドローイングとして念写してください。

(*Catherine Ingraham “Nothing Will Come of Nothing”)

提出物:ドローイング(275×275)表紙+2枚以上
出題日:2017年6月14日 (13時半時間厳守)
提出日:2017年6月21日
講評日:2017年6月28日

(出題:小林)

A+++  1x16a096  月森十色

456

満員電車の窓に押し付けられた人々の姿 を外から描いているが、湿度によってかガラスが曇っており、かすんだ群衆が捕らえられたような異様な生き物のように見えてくる。これぞ都市のゴーストかもしれない。(小林)

 

A+++  1x16a059  小田切寛樹

415「せんぼう」と題された監視カメラ が捉えた駐車場の俯瞰映像をクレ ヨンで描いた作品。一見何気ない 空虚な線であるように見えて、何 かしらの影響によって引き直され た白線や車止めが表現されている。 私達の図り知らない所で、都市は 黙々と全てを受け入れ、留まって いる様が見事に表現されている秀 逸な作品である。(早田)

 

A++  1x16a020  岩井亮

146

“BABEL” 広告と建築の関係。建物に付随 する広告がファサードとなり、 建物の存在を否定するような批 判的作品。看板が一流企業のも ののみであるのが、気になる! 新宿にはない看板もあるので は? ( 山村)

 

A++  1x16a016  稲坂まりな

56

「路地裏」と題された荒廃した都 市から廃棄物の留まり場までを 断面として表現した作品。 隠蔽された巨大な地下空間を都 市生活の結果として排泄される 廃棄物の行き場迄を、見事に表現 している大作である。もっと現実 に突っ込んで表現してほしかっ た。( 早田)

 

A++  1x16a099  任田良平

145

“NO SIGNAL”

点灯しない信号確かに信号が点灯しない瞬間はない。都市機能不全の緊張時に現れるゴースト。( 山村)

 

A++  1x16a093  種田駿

415

雪山の風景、吹き荒れる風によって境界がボヤケていく独特の世界観を素晴らしいリアリティで表現している。決して緻密ではないが、その場に立っているような瑞々しい感覚をもたらしてくれる作品。(三浦)

 

A++  1x16a125  原田佳典

146

空想の街に入り込んでいる自分。様々なおもちゃを「見立て」によってテクスチャ豊かな世界へと編集していく様がゴーストを生み出しているといえる。つじつまの合わない世界観がむしろハイパーリアルな空気を満たしている。(三浦)

 

A++  1x16a112  成瀬光希

46

タイトル「いつのまにか」が表すように、都市のゴミやあらゆるものの痕跡が、いつのまにか消えている様をゴーストの仕業として描いている。掃除をしている人の姿が普通のバイト女子というのが少し物足りない。(小林)

 

A++  1x16a121  林貴弘

415

開店前の昼間(?)の飲み屋街。発光しない多数の看板、電線、室外機が無人のストリートでゴツゴツした存在感を示している。人の不在こそがゴーストといえるのか。(三浦)

 

A++  1x16a009 五十嵐萌乃

41

「立入禁止」と題された何気ない都市の片隅に置かれたカラーコーンと、そこに書かれた「立入禁止」という風景を描いた作品。何のために置かれたのかもわからない。ある記号的命令のために、その場所の意味までも変化してしまう様を、描いた良作である。(早田)

 

A++  1x16a124  原望峰

157

“眼光”

60mの超高層に使われる点滅灯を主題とした作品。一つのみではなく、これが群として描かれた時に表出するゴーストの絵を見てみたかった。「眼光」の集合ともいうべき姿を。(山村)

 

A++  1x16a029  泉川時

56

東京の交通インフラ網(?)を抽出した線だろうか。黒地に浮かび上がった線は、細菌のウイルスのようであり、また虫が通った後の軌跡にも見える。多くの人が目線でのゴーストを追う中、都市を俯瞰する視点の中にゴーストを見つけているのが良い。(小林)

 

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